出産後、体がつらいのに頼れる人が近くにいない。そんなときに使える制度として、福山市には「産後ケア事業」があります。日帰り・訪問・宿泊の3つの型があり、対象者や費用、申請のしかたがそれぞれ違います。福山市の公式ページをもとに、内容と申請の流れを整理しました。
※確認日:2026年10月23日(福山市子育て支援サイト「産後ケア事業」「産前・産後サポート事業」)。産後ケア事業のページは2026年10月1日更新、産前・産後サポート事業のページは2025年6月2日更新の記載です。

この記事で分かること
- 産後ケア事業の「日帰り型」「訪問型」「宿泊型」は、それぞれどう違うのか
- 対象者と、利用できる日数の上限
- 自己負担額とキャンセル料
- 申請の方法(紙の申請書・福山市公式LINE)と、申請から利用までの流れ
- 名前が似ている「産前・産後サポート事業」との違い
結論:3つの型があり、宿泊型だけ審査がある
- 産後ケア事業には、日帰り型・訪問型・宿泊型の3種類があります。助産師などが、母子の体調管理や育児手技の指導、子育て相談などを行う制度です。
- 日帰り型・訪問型は、対象者の要件に当てはまれば利用できます。宿泊型は審査があり、家族からの支援が十分に受けられないなどの要件を満たす必要があります。
- 対象は、福山市に住民票があり、出産後1年未満(1歳の誕生日の前日まで)の産婦と乳児、または1年以内に流産・死産を経験した人です。
- 利用日数は、宿泊型・日帰り型・訪問型を合計して1回の出産につき7日まで(多胎の場合は10日まで)です。
- 自己負担額は、世帯の課税状況(階層区分)によって決まります。市民税が非課税の世帯などは0円、課税世帯は型ごとに1,000円〜3,750円です。
- 申請は、出産予定日の1か月前からできます。申請から決定まで2週間程度かかるため、早めに動くと安心です。
産後ケア事業とは
福山市の公式ページによると、産後ケア事業は、産科医療機関や助産所の助産師などが、産婦の体力回復や心理的ケア、乳房ケアを含む授乳の支援、抱き方・沐浴・オムツ交換などの育児手技の指導、子育てに関する相談や保健指導・栄養指導などを行う事業です。
赤ちゃんが入院中や保育所に入所している場合は、産婦だけで利用することもできます。ただし、託児や家事代行を目的とした事業ではない、と案内されています。
3つの型の違い
日帰り型(7時間)
助産所などに通所してケアを受けます。赤ちゃんを助産師に預けて、個室で仮眠を取ることもできます。しっかり休息を取りたい人に向いている型です。利用時間は、午前8時30分から午後5時までのうち7時間で、昼食の提供があります(産婦のみ)。
日帰り型(2時間)
助産所などに通所し、相談や保健指導を中心に受けます。短時間でケアやアドバイスを受けたい人に向いています。利用時間は、午前8時30分から午後5時までのうち2時間です。食事の提供はありません。
訪問型
助産師などが自宅を訪問します。自宅の環境や育児用品に合わせたアドバイスを受けられるので、外出が難しい人や、家族と一緒に話を聞きたい人に向いています。利用時間は2時間で、食事の提供はありません。訪問型を利用する際は、駐車場の確保が必要です(ない場合は民間駐車場の利用料が自己負担になります)。
宿泊型
助産所や病院などに泊まって、ケアを受けます。入所は午前10時、退所は午後7時が基本ですが、希望に応じて時間を変更できます。食事は1日3食(初日は2食)の提供があります。
宿泊型だけ、利用に審査があります。 次の4つすべてに当てはまる人が対象です。
- 福山市に住民票がある
- 出産後1年未満の産婦と乳児(1年以内の流産・死産を含む)
- 家族などから十分な家事や育児の支援を受けられない
- 心身に不調がある、強い育児不安がある、または産科医療機関などが特に支援を必要とすると判断した
要件に当てはまらない場合や、施設に空きがない場合などは、利用できないことがあります。
どの型も、感染症にかかっているときや、心身の不調で入院加療が必要なときは利用できません。
利用できる日数と自己負担額
利用日数は、宿泊型・日帰り型・訪問型を合計して、1回の出産につき7日まで(多胎出産の場合は10日まで)です。日帰り型や訪問型と組み合わせて利用することもできます。上限の日数を超えて利用した場合は、全額自己負担になります。
自己負担額は、産婦と配偶者の所得で決まる「階層区分」によって次のように分かれます。
| 階層区分 | 対象 | 日帰り型(7時間) | 日帰り型(2時間) | 訪問型 | 宿泊型(1日あたり) |
|---|---|---|---|---|---|
| 区分1 | 生活保護受給世帯、産婦と配偶者の両方が市民税非課税の世帯 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 区分2 | 市民税課税世帯 | 1,750円 | 1,000円 | 1,000円 | 3,750円 |
公式ページには、区分2の人が宿泊型を2泊3日利用した場合、自己負担額は3,750円×3日=11,250円になる、という例が示されています。
海外赴任などで所得の確認ができない場合は区分2になります。また、前年の所得が未申告の場合は利用できないため、産後ケア事業を申請する前に所得の申告が必要です。おむつ・ミルク・ベビーフードなどは持参が必要で、持参しない場合は実費がかかります。
利用日を変更・中止する場合は、利用予定日の前々日の午後5時までに施設へ連絡する必要があります。連絡がなかった場合のキャンセル料は、日帰り型(7時間)3,500円、日帰り型(2時間)・訪問型2,000円、宿泊型7,500円です。
申請の方法と流れ
申請は、出産予定日の1か月前からできます。方法は2つあります。
- 紙の申請書を提出する:福山市のページから申請書(PDF)をダウンロードし、ネウボラ推進課に提出します。
- 福山市公式LINEから申請する:LINEの申請画面で必要項目を入力します。申請が完了すると、決定通知をデジタルで受け取るための「xID(クロスアイディ)」への登録案内が表示されます。xIDの登録には、マイナンバーカードと署名用パスワードが必要です。

宿泊型は申請の方法が異なります。まず、お住まいの地域を担当する保健師に相談し、保健師が訪問や電話などで体調や家族の状況を確認したうえで、申請書を記入して保健師に提出します。そのうえで審査が行われ、利用の可否と利用施設が決定します(結果は郵送)。妊娠中に申請する場合は、利用日が確定しないため施設の予約ができないことがあります。出産後、早めに担当の保健師へ連絡するよう案内されています。
日帰り型・訪問型・宿泊型のいずれも、申請から決定まで2週間程度かかります。申請内容に誤りがある場合などは、電話やLINEメッセージで確認の連絡が来ることがあり、確認ができるまで決定できないため、早めの対応が必要です。
申請に必要な書類
自己負担額を決めるための書類が必要です。必要書類の提出がない場合は所得が確認できず、区分2として扱われます。
- 産婦が市民税非課税かつ未婚、または夫婦が別世帯の場合:産婦の戸籍(全部事項証明書。6か月以内に発行されたもの)。
- 2025年1月1日時点で福山市に住民票がない場合(4〜5月の申請):2024年の所得と所得控除額が証明できる書類(2025年度所得課税証明書など)。
- 2026年1月1日時点で福山市に住民票がない場合(6〜12月・1〜3月の申請):2025年の所得と所得控除額が証明できる書類(2026年度所得課税証明書など)。

利用方法(決定後)
決定通知が届いたら、希望する施設に連絡して利用の予約をします。予約者が多い場合、希望する日時に利用できないことがあります。
持っていくものは、親子健康手帳(母子健康手帳)、決定通知書またはLINE利用券、おむつ・おしりふき・ミルク・ベビーフードなどです。
紙の申請書で申請した人には、紙の決定通知書が郵送されます。利用施設に提示して自己負担額を支払い、裏面の「利用回数管理表」に自分で利用の記録をします(上限日数を超えると全額自己負担になるので注意が必要です)。LINEから申請した人は、LINE利用券を施設に提示して支払います。利用回数はLINEで管理されるため、自分で記録する必要はありません。
実施できる施設は、助産所や病院など複数あり、施設によって対応する型(日帰り7時間・日帰り2時間・訪問)や、受け入れ可能な産後の期間が異なります。最新の施設一覧と連絡先は、福山市の公式ページで確認してください。
年度をまたいで利用する場合
産後ケア事業は、年度ごとに申請が必要です。2025年度(令和7年度)に申請していて、利用日数が上限に達していない人は、2026年(令和8年)4月以降の利用について再度申請すれば、残りの日数分を利用できます。
名前が似ている「産前・産後サポート事業」との違い
福山市には、産後ケア事業と名前が似ている「産前・産後サポート事業」という別の制度もあります。こちらは、子育て経験者等(キラキラサポーター)が家庭を訪問し、妊娠・出産・子育ての相談相手になる事業で、専門的なケアを必要とする相談は対象外です。1回1時間以内、利用者の希望に応じて週1回・月2回・月1回などの頻度で利用でき、費用は無料です。
助産師などによる体のケアや育児技術の指導が必要なときは産後ケア事業、身近に相談できる人がいない心細さには産前・産後サポート事業、という使い分けになります。里帰りをしない出産を考えている人向けに、この2つの制度の違いをより詳しく説明した記事もありますので、あわせてご覧ください。
確認できていないこと
- 実施施設それぞれの詳しい受け入れ可能期間や連絡方法(施設によって異なります。最新の情報は公式ページで確認してください)。
- 宿泊型の審査にどのくらいの期間がかかるか(公式ページには「結果は郵送」とだけ記載されています)。
- 里帰り先など、福山市外での利用ができるか。
よくある質問
Q. 産後ケア事業は、誰でも利用できますか?
A. 日帰り型・訪問型は、福山市に住民票があり、出産後1年未満(1歳の誕生日の前日まで)の産婦と乳児などの要件に当てはまれば利用できます。宿泊型は、家族からの支援が十分に受けられないことなど、追加の要件があり、審査があります。
Q. いつから申請できますか?
A. 出産予定日の1か月前から申請できます。申請から決定まで2週間程度かかります。
Q. 自己負担はいくらですか?
A. 市民税が非課税の世帯などは0円です。課税世帯は、型によって1,000円から3,750円(1日あたり)かかります。
Q. 産後ケア事業と産前・産後サポート事業は同じものですか?
A. いいえ、別の制度です。産後ケア事業は助産師などによる体のケアや育児技術の指導が中心で、費用がかかる場合があります。産前・産後サポート事業は、子育て経験者による相談中心の訪問で、無料です。
まとめ
- 産後ケア事業には、日帰り型・訪問型・宿泊型の3つの型があります。宿泊型だけ、利用に審査があります。
- 利用できる日数は、3つの型を合計して1回の出産につき7日まで(多胎は10日まで)です。
- 自己負担額は、世帯の課税状況によって0円から、型ごとに1,000円〜3,750円です。
- 申請は出産予定日の1か月前からできます。紙の申請書、または福山市公式LINEから申請できます。
- 名前が似ている「産前・産後サポート事業」は、無料の相談訪問で、産後ケア事業とは別の制度です。


